Written by Takayuki Ueda

そのフォームでほんとに大丈夫? 民族楽器のラバーブの構え方について

Rabab ラバーブ

Tokyo modal music lab で民族楽器ラバーブ担当のウエダですギターとかもそうですが、伝統ある楽器をたのしく、楽な姿勢で続けるためにフォーム(構え方)はとても大切です。
そんなのカンケーないでしょ?と思うかもですが
自己流だけだと、どうしても限界があります。
ほんとにうまい人の演奏って楽々カンタンそうにやってますよね。
人によって、体つきも違うので、その辺も考慮しつつですが
やはり、楽器に最適なフォームというのはたしかにあります。
ロンドン大学でラバーブを研修している教授の資料をもとに、わかりやすく解説します。

1ラバーブには胡座が最適な理由

胡座という感じの胡には西方の民族という意味があるので、
ラバーブの出自にもかなっているのがわかります。

・演奏者の体に対して45度、前に押し出す
・楽器のアタマは20度くらいあげる

特に意識しなくても、胡座でラバーブを右の膝の上にのせると
ひきやすいフォームと角度になります。
共鳴弦の高いチーン音を操るときには、
船みたいに楽器をぶらぶら揺らすのですが、とても安定して弾きやすくなります。
上の写真はラバーブの王様の異名をもつUstad Homayun Sakhi氏、アメリカ在住ですが
やはりいつでも胡座で弾いておられます。

椅子でラバーブと弾くときは

Ross Daly 写真Neo kosmos より引用

今ではすっかり椅子とテーブルの暮らしが主流の日本なので
いつでも胡座かいたりしないかもですよね。
床に座るの苦手、という方もいるとおもいます。
そんなときは、足を組んだり、クラシックギターみたいに右足を台の上にのっけたりすると安定します。
写真は私がクレタ島でリラの手解きを受けたロス・デイリー氏、欧米でラバーブの認知度の向上に大きく貢献された音楽家です。

2右手のポジション

こんな感じで、腕をカクッと曲げたフォームでピックをにぎって構えます。
写真でもいいんですが、John Baily教授の絵だとわかりやすいです、
三味線とほとんど同じような角度で弾くので、経験者だと上達がはやいです。

・ダウンピッキング
・アップピッキング
・空ピッキング

右手は振り子みたいに、プラプラさせながら
ダウンアップでリズムの粒を刻みます。ピッキングに関しては別の記事を用意しましたので参考にしてみてください。

音の時間軸をつくるのはすべて右手です。
右手の練習をコツコツ続けたら、躍動感あるリズムを生み出すことができます。
教授の演奏をみてみましょう↓

中弦と男弦を弾いたら、隣の弦に触ってるのがみえます、
このように、ダウンピッキングはアップにくらべてパーカッシブな音がでます
地球の重力を味方につけてるのですね。
重力を利用できるのはラバーブにかぎらず、リュート系弦楽器の魅力です。
これにより、パーカッションの役割も果たせちゃうのです。

3左手のポジション

きれいな音を出すためには、フレットのすぐ下をおさえます。
ギターみたいにフレットに対して並行におさえたくなるかもですが、
この写真のように、すこし斜めにすると動きやすいです。
基本的に、小指はほとんど使いません。

人差し指と薬指がメイン

John教授が指摘されているように、伝統的なラバーブ奏者は中指を使うのは限定的とありました。
この点も沖縄の三味線(三線)にそっくりな奏法です。
とはいえ、Efren Lopezなど現代的なラバーブ奏者も中指をつかっています。私もわりと使います。
なので、マザーリへ行こうなど伝統的な楽曲をやるときには、基本的に人差し指と中指をメインで弾いた方がいいのかもしれません。 こちらの動画では、ほぼ中指も使わないで2本の指だけで演奏されてます、装飾音がカッコいいですよね。

ラバーブに最適なピックはどれなの?

こちらは、ペシャワールでもらった木製ピック
ほとんどの方がこれを使ってるのですが、
現地に行かないと入手が難しいかもしれないです。そこで、ネットでも入手可能なピックをご紹介しますね

ジョンベイリー教授のオススメピック

John教授はこちらのギター用めちゃ分厚いピックを使っているみたいです、
分厚いのはあまり店頭では売ってないので、ネットで買ったほうがよさそうです。
とはいえ、10枚もおんなじの要らないですよね。なので生徒さんに配るために私も注文しました。

ロスデイリーさんの水牛の角(ホーン)ピック

ギター用のプラスチックは安くていいんだけど、
もうちょっとホンモノ嗜好なのがいい時はこちらがおすすめ。
ロスデイリーさんも使ってます、私もゆったり分厚い音が欲しいときはこのホーンピックを使ってます。
ただちょっと、サイズがでかいので自分で削ってもいいかも。

まとめ

こんな感じで、ラバーブの構え方やどんなピックを使うのかまで
いろんな資料に基づいて解説してきました。
パキスタンやアフガニスタンも日本と同じく、靴を脱いでお家にあがる国です。
なのでラバーブも伝統的には胡座でリラックスした姿勢で弾きます。
一見、音楽にカンケーなさそうな習慣ですが、人々の暮らしは文化の発達に密接に結びついています。

アフガニスタンというと、日本とはまったく違った異国のように思うかもですが
コタツがあったり、緑茶をのんだり、音楽だけじゃなくつながりがある、親しみがある地域です。
そんなわけで、ラバーブは日本人のリラックスした暮らしにやさしく溶けこんでいく楽器だと確信しています。 ラバーブと一緒に人生100年の時代を楽しく意義深いものにしていきましょう、インシャアッラー。