こんにちはTokyo modal music labでリラを担当してる
ウエダです。
今日は地中海に浮かぶ美しい島、キプロス島に
伝わる舞踏曲Sirto(シルト)を深堀りします。
この記事を読むことで、
西洋音楽の発展にも大きな影響を与えた
オリエント音楽についての知識を深め
音楽についての多様性を知ることができます。
地中海の漁の唄が起源説
19世紀の英国人ジェームズ・レネル・ロッド伯爵の
残した記録によると
シルト(Sirto)はキプロス島やギリシャの
地引網の漁の動きをモチーフにしたと指摘されています。
かつて明治時代に日本を訪れた
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も
同時代に外国人としての立場から
日常を記録したのは有名ですよね。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/10/nigaoe_koizumi_yakumo.png)
ふだんの暮らしの中で当たり前のような
文化風習はちがった視点により記録されることは
後世の人にとって重要な資料になることがあります。
ジェームズ・レネル・ロッドさんは
ギリシャもしくはキプロス島に滞在中、
地元の漁師さんたちが
地引網を引くのにあわせるリズムと歌を
目撃してこのような記録を残したのではないかと
想像されます。
ギリシャではSirtos(シルトス)とよばれ
4拍子のリズムでまーるくなり、手をつないだ
人たちが踊るフォークダンスとして親しまれています。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/10/440px-Samothraki_choral_dancers.jpg)
靴のメーカー・ナイキの由来になった
サモトラケのニケでも有名な島では
このように古代から手を繋いで踊るレリーフがのこっているので
ルーツは紀元前(2000年前)に遡ると考えられます。
2000年前といえば
日本では弥生時代の始まり、縄文時代の
終わりごろですが
そんな昔の踊り、今でもほんとに
のこってるの?と思うかもしれないですね、
私が2019年にクレタ島を訪れた時には
民謡酒場では
4拍子のリズムで手をつないで丸くなって踊る
人々が、生楽器の演奏とともに楽しんでいました。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/10/c0158301_20165474.jpg)
伴奏の楽器リラは
古代において竪琴でしたが、中世以後リラは
バイオリンのご先祖のような擦弦楽器に変わりましたが
2000年した今でも変わらないダンスフォームってすごいですよね。
こちらは8世紀のブロンズ像7人の女性たちが輪になって踊る姿が
確認できます。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/10/560px-Dancing_Nymphs.jpg)
かつてはこのように
男女別で踊っていたようですが
今では、男女混合で踊ることが多い
Sirtoですが、2000年も前の
踊りのフォームが現代にもフツーに受け継がれて
いるのはすごいですよね。
輪になって踊るといえば
日本の盆踊りなどのフォームも
古いのかもしれないですね。
漁師のダンス曲がオスマン宮廷ハレムに伝わる?
オスマン帝国の32代スルタン
Sultan Abdulazizの作品とされる
Sirtoのフォームでつくられた楽曲は
オスマン古典音楽のレパートリーとして
のこっています。
果たしてほんとうにハレム、で演奏されたのかは定かではないのですが
キプロスの地引網から
オスマン宮廷にきて洗練されて
雅な雰囲気のインスト曲として演奏されているのが
とても興味深いですね😌
参考までに譜面のリンクもこちらに貼っておきます。
というわけで
今日は
わりと親しみやすい4拍子のSirtoをご紹介しました。
トルコやギリシャ、中東の音楽は
このように
単旋律(メロデイーが1つだけ)なので
西洋クラシックなどと比べても
複雑ではないので、譜面をスラスラ読めなくても
演奏する際にはあまり苦になりません。
また楽器の値段も西洋楽器に比べたら
安価なので、ちょっとやってみようかなと
初めてみるのもオススメです。
このブログでは楽器などは販売はしないのですが
何か聞きたいことがありましたら
お問い合わせいただければ
できる範囲でお答えいたします😌