オスマン宮廷にみるキプロス島のダンス曲のルーツは

こんにちはTokyo modal music labリラを担当してる
ウエダです。
今日は地中海に浮かぶ美しい島、キプロス島に
伝わる舞踏曲Sirto(シルト)を深堀りします。
この記事を読むことで、
西洋音楽の発展にも大きな影響を与えた
オリエント音楽についての知識を深め
音楽についての多様性を知ることができます。

地中海の漁の唄が起源説

19世紀の英国人ジェームズ・レネル・ロッド伯爵の
残した記録によると
シルト(Sirto)はキプロス島やギリシャの
地引網の漁の動きをモチーフにしたと指摘されています。

かつて明治時代に日本を訪れた
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も
同時代に外国人としての立場から
日常を記録したのは有名ですよね。

ふだんの暮らしの中で当たり前のような
文化風習はちがった視点により記録されることは
後世の人にとって重要な資料になることがあります。

ジェームズ・レネル・ロッドさんは
ギリシャもしくはキプロス島に滞在中、
地元の漁師さんたちが
地引網を引くのにあわせるリズム
目撃してこのような記録を残したのではないかと
想像されます。

ギリシャではSirtos(シルトス)とよばれ
4拍子のリズムでまーるくなり、手をつないだ
人たちが踊るフォークダンスとして親しまれています。

サモトラケ島のレリーフ

靴のメーカー・ナイキの由来になった
サモトラケのニケでも有名な島では
このように古代から手を繋いで踊るレリーフがのこっているので
ルーツは紀元前(2000年前)に遡ると考えられます。

2000年前といえば
日本では弥生時代の始まり、縄文時代の
終わりごろですが
そんな昔の踊り、今でもほんとに
のこってるの?と思うかもしれないですね、

私が2019年にクレタ島を訪れた時には
民謡酒場では
4拍子のリズムで手をつないで丸くなって踊る
人々が、生楽器の演奏とともに楽しんでいました。

伴奏の楽器リラ
古代において竪琴でしたが、中世以後リラは
バイオリンのご先祖のような擦弦楽器に変わりましたが
2000年した今でも変わらないダンスフォームってすごいですよね。
こちらは8世紀のブロンズ像7人の女性たちが輪になって踊る姿が
確認できます。

かつてはこのように
男女別で踊っていたようですが
今では、男女混合で踊ることが多い
Sirtoですが、2000年も前の
踊りのフォームが現代にもフツーに受け継がれて
いるのはすごいですよね。
輪になって踊るといえば
日本の盆踊りなどのフォームも
古いのかもしれないですね。

漁師のダンス曲がオスマン宮廷ハレムに伝わる?

オスマン帝国の32代スルタン
Sultan Abdulazizの作品とされる
Sirtoのフォームでつくられた楽曲は
オスマン古典音楽のレパートリーとして
のこっています。

果たしてほんとうにハレム、で演奏されたのかは定かではないのですが
キプロスの地引網から
オスマン宮廷にきて洗練されて
雅な雰囲気のインスト曲として演奏されているのが
とても興味深いですね😌
参考までに譜面のリンクもこちらに貼っておきます。

Neyzen Hicaz Sirto

というわけで
今日は
わりと親しみやすい4拍子のSirtoをご紹介しました。
トルコやギリシャ、中東の音楽は
このように
単旋律(メロデイーが1つだけ)なので
西洋クラシックなどと比べても
複雑ではないので、譜面をスラスラ読めなくても
演奏する際にはあまり苦になりません。

また楽器の値段西洋楽器に比べたら
安価なので、ちょっとやってみようかなと
初めてみるのもオススメです。

このブログでは楽器などは販売はしないのですが
何か聞きたいことがありましたら
お問い合わせいただければ
できる範囲でお答えいたします😌

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