和楽器の琵琶や西洋古楽器のリュートにも
大きな影響を与えたといわれるウードは
スワラジ民族音楽ラボでも
使用頻度の多い楽器です。
ウードの起源はとても古く
現在のアフガニスタン、パキスタン北西部
かつてのバクトリアやガンダーラには
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/600px-West_Asia_non_political_with_water_system-1.jpg)
ウードのような、ショートネック型のリュート系楽器
のレリーフもみられ、2000年ほど前から
人々はウードのような楽器に親しんでいたのが
確認されます
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/Indo-GreekBanquet-1024x690.jpg)
音楽学者のリチャード・ダンブリル(Richard Dumbrill)によると
リュート科の楽器は紀元前3000年以前のメソポタミアにも存在していたといいます.
しかしながら古代エジプトの絵画にみられるような
リュート系の楽器は
どちらかというとネックが細長いかたちをしているので
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/Egyptian_lute_players_001.jpg)
ウードのようなネックが短いリュート系の楽器は
ガンダーラのレリーフにみられるように
メソポタミアの東、
バクトリアやガンダーラで発展したと
考えられています。
その後
これらの地域はササン朝ペルシャ(AD224-651)
の一部となり
バクトリアの首の短いリュートは
バルバットとよばれ後のイスラム世界の
ウードになったと考えられます.
アンサンブルでウードが活躍する理由
ウードがアンサンブルに最適な
理由のひとつに
その低音の魅力があります。
アラビアのウードは
ペルシャ文化圏のバルバットに
古代ギリシャの竪琴バルビトンの
低音を組み合わせたとい可能性も高く
バルバットに低音を与え
8世紀から9世紀 中世になって
イスラム世界が
今のスペイン、イベリア半島を征服したのち
多くのオリエントの音楽家が
ウードをヨーロッパにもたらしたと
いわれています
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/OIP-1024x658.jpg)
この頃4弦であった
ウードに5弦が加えられて
当時世界の最先端の文明を誇っていた
コルドバには音楽学校が設立されたといわれています。
今では
6コースが主流のウードですが
アルジェリアのトレムセン
中世アンダルスの影響が残る地域では
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/120948087_1621778108023076_7096865375932537880_o-840x1024.jpg)
Kouitra ,Kwitraという
昔のウードの面影をのこした
4弦のものが今でも受け継がれています
スワラジ民族音楽ラボでは
ウエダタカユキ所有のイラクウードと
矢島夕佳里所有のトルコウードにアラビアウードの弦を
張ったものを中心に使っています。
このように
広い地域で長い歴史の中で育まれたウードは
その低音の魅力と
フレットレスならではの
微細な表現もできることから
スワラジ民族音楽ラボでも重要な楽器のひとつなのです。