トルコで毎年開催される、メヴラーナイベントにあわせて
マスナヴィーなどの詩句とスーフィー民族楽器のパフォーマンスを
東京ジャーミイで開催しました。
公演でピックアップした詩句の翻訳と動画をまとめます。
葦笛の歌・マスナヴィー冒頭より
بشنو این نی چون شکایت میکند از جداییها حکایت میکند
* کز نیستان تا مرا ببریدهاند ** در نفیرم مرد و زن نالیدهاند
Listen to this reed how it complains, telling a tale of separations
She will roam a hundred leagues’ distance in quest of her children, moaning and making lament.
聞け、葦笛がいかに語るか別れの悲しみをいかに訴えるか
私が葦原から切り離されて以来
わが悲しい音色で男も女もむせび泣く
私はこの切ない想いを打ち明けるため別れで胸を千々に裂かれた人に逢いたい
己が本源より遠ざかる者はみな合一の時を慕いて還ろうとする
黒柳恒男訳
ペルシャ音楽のモード・Afshariに基づいて
ネイとラバーブで演奏しました。
シャムス・タブリーズィ詩集より
私の心と世界であるあなた、昨夜何処に行ったのか
いやそれは私の間違い、あなたは私の心にいた
ああ、私は昨夜どのようだったか
ああ、あなたは昨夜誰といたのか
嫉妬してしまう、ああ私が長衣だったらよかったのに
なぜならあなたは長衣に抱きしめられているから
嫉妬してしまう、ああ私が長衣だったらよかったのに
なぜならあなたは長衣に抱きしめられているから
あなたに言う勇気など私にはない
「哀れな私なしにどうしていたのか?」と
あなたは鏡 あなたの色は誰を映し出しているのか?
あなたは色を持っていなかったのに
あなたの美しい顔の色が物語る
あなたが神の恵みの聖域にいたことを 翻訳 村山木乃実
ペルシャ音楽の大家・Mohammadreza Shajarianの
ルーミーの詩句に基づいた楽曲を演奏しました。
ラバーブと踊りの章句・マスナヴィーより
流れる水の岸辺に高い壁があった。
そしてその壁の上に、のどの乾いた哀れな男がいた。
壁は、男が水へと至るのを妨げていた。
まるで魚が水に焦がれるように、男は水を欲していた。
突然、彼は一塊の煉瓦を水めがけて投げ入れた。水しぶきの音が彼の耳に届いた。
「おい、そうして私に煉瓦を投げつけて、一体おまえに何の得があるというのか?」。
のどの乾いた男は言った、
「おお、水よ!私には二つばかりの得がある、
だからこうし続けることを止めるつもりはないぞ。
一つめの得は水の音を聞けることだ。のどの乾いた者にとり、
その音はまるでラバーブのように心地よい。
Masnavi2:1190〜 翻訳 西田今日子
踊りの章句
رقص آنجا کن که خود را بشکنی ** پنبه را از ریش شهوت بر کنی
رقص و جولان بر سر میدان کنند ** رقص اندر خون خود مردان کنن
چون رهند از دست خود دستی زنند ** چون جهند از نقص خود رقصی کنند
مطربانشان از درون دف میزنند ** بحرها در شورشان کف میزنند
踊るならば、あなたが変容を遂げたのちに踊れ。
踊るならば、ただあなたの我欲を切り刻み、
あなたの我欲の息の根をとめたのちに踊れ。
聖なる人々は踊る。心の戦場を旋回する。
彼らは自らの血において踊る、他の誰かの血ではなく。
我欲を握りしめていたその手が空っぽになり、
自由になったときにこそ手を打ちゆえに楽師たちは太鼓を叩き、歓喜ゆえに海は飛沫をあげる。
Masnavi 3:95〜 翻訳 西田今日子
ルーミーの出身地である
中央アジア・アフガニスタンの民族楽器ラバーブとともに、伝統の音楽モードとリズムパターンに基づいて作曲した楽曲をもとに、パフォーマンスしました。
ルーミーの詩に秘められたものは?
今回翻訳のために,たくさんの方にお手伝いいただきました、謹んで感謝します。
詩の翻訳でだいたいの表面的な意味はつかめるとおもいます、
美しいペルシャ語の響きを体感しつつ
本質的な価値についても探求を深めていければいいですね。