中東オリエント世界の音楽的な
特徴として
微分音(マイクロトーン)があります
ふだん、平均律の音楽に
慣れ親しんでるわたしたちには
気持ち悪く?感じてしまうこともあるかもしれないですが
実は西洋クラシック音楽家にも
わざと音程をズラすような
微細な音のコントロールへの認識があるのは有名ですよね。
カザルスは、音程も表現の手段であり、同じ音階でも上昇するときと下降するときでは異なる音程をとる必要があると語っている。したがって、カザルス自身はそのことを十分承知の上で、表現上あえて音程をずらしていたのである
パブロ・カザルスの言葉より引用
有名なチェロ奏者パブロさんが指摘しているように
とくにフレットがない弦楽器
バイオリンやチェロの奏者は
音程をコントロールしやすいので
おんなじ音でも、上がる時と下がる時で
びみょーに音程をズラすことやっているのですね。
中東オリエントの音楽には
パブロさんみたいな名手が自然にやってるような
- 上がる時と
- 下がる時の音程
を微細に使い分けるパターンがあります。
これをマカームといいます。
マカーム=音階
とも理解されることがあるかもですが
全部ひっくるめた
音の構築法みたいなのをマカームという感じですね。
パブロ・カザルスとトルコ音楽のカンケーは?
トルコ古典音楽では
このように全音の間を9分の1に
分割するようなビミョーな音をコントロールするシステムがあります。
これだけみると、
こんなビミョーは使い分け、聴き分け
できるのかな?と思っちゃいますが。よく演奏されるような代表的なマカームでは
音階の中のすべての音に
適応されるわけでもなくて
2度の音だけとか6度、7度の音だけ
微分音だったりするので
クラシックチェロ奏者のパブロさんが
指摘した上がる時を下がるときでビミョーにズラすというコンセプトとも
一致するところがあります。
たとえば私たちがよく演奏する
オスマン古典曲チェチェンの娘では
2度の音が反対向いたフラット
微分音表記なので
上の表からだと
いつもこの音を9分の1さげるのか
と思いきや
下降するときには
ほぼ、4分の1フラットに近い音で
演奏されることが多いです。
- 微分音ありの演奏
- 微分音なしの演奏
短いフレーズで両方やってるので
わかりやすいですよね。
西洋クラシックの絶対音感とか持ってたら
気持ち悪いとおもっちゃうかもですが
お父さんの方は微分音があるバージョンが心地よいといっておられるのも印象的ですね。😌
実音はミなのに
譜面はラからはじまっているのは
トルコ音楽に特徴的な書き方みたいです。
これも絶対音感をお持ちの方にはややこしいかもしれないですが、
相対音感(音と音との距離で音程を感じる)の考え方だと
意外になじみやすいですよ。
天体の動きと連動するマカーム
こんな感じで、
上天にある月と
沈んでいく月が
同じ大きさの月でも
見え方が違うみたいに
同じ音でもまったく違った表現を
する魅力があるのが味わえると思います。
トルコや中東の音楽には
西洋のハーモニーやコードの感覚が
少ないので
ちょこっと聴いただけだと
なじめないかとおもいますが
こうした微細な音表現に耳を澄ますと
味わえる深ーい魅力があるんですね。
私は学生のころ、バークリー音楽院で
ジャズやポピュラー音楽理論を学びました
なので、使える音階だけみてジャズみたいな感じで
オッケーこの音階の中で自由にうごけば
中東っぽく即興できるんだねみたいに
カンタンに解釈しちゃいがちなんですが、どうも、それだけではない深い魅力があるので
これからも学びをみなさんにシェアさせていただければ嬉しいです🙇