楽器の獅子ともよばれるラバーブ は
アフガニスタンのホラーサーン地方が起源とされる
リュート系の楽器です
アラビアには似たような名の殺弦楽器(弓で擦る楽器)がありますが
スワラジ民族音楽ラボで使用しているものは
アフガニスタン、パキスタン北西部やカシミール地方の
擦弦楽器(弾く弦楽器)の方になります。
ラバーブの最大の魅力は
共鳴弦と夢心地にいざなうようなリバーブ感でしょう
実際にはあまり弾かないのですが
13〜15本もの共鳴弦が張り巡らされていて
奏でたい音階、モードに応じて
チューニングすることで、3コースのメイン弦を
弾くことで振動が伝わり共鳴して響くシステムです。
加えて2〜3本のドローン弦があり
ヤギの皮で張った上に骨でつくられたブリッジを通して
2つに分かれたボデイの中で鳴り響き
和楽器にも似たような
優美で繊細な音世界が表現できます。
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ペシャワールの博物館には
1800年ほど前のラバーブとみられる
レリーフがガンダーラ仏像ととも描かれています
ショートネック系リュート
バルバット(ウードの起源)の発祥地とも近いことから
その起源は紀元前に遡ることができると考えられます。
ラバーブが世界的に注目されるように
なったのは皮肉なことに
アフガニスタンでの戦乱の影響もあります
90年に台頭してきたタリバン政権は
戒律を極端に厳格化して
音楽や娯楽を禁じるようになり
多くの人材や文化財がイスタンブールに運ばれました
ギリシャを拠点にする音楽家Ross Dalyは
イスタンブールに集まってきた
ラバーブに着目して
それらを買い上げ
独自に研究をかさねて
ラバーブの魅力を世界に知らしめました
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/c0158301_18371864.jpg)
みせていただいたロスデイリー氏のラバーブコレクション
後にHomayun Sakhi、Efren Lopezなどの活躍により
ラバーブは知る人ぞ知る
魅力的な楽器としての地位を高めていきました。
現在高品質なラバーブは
アフガニスタンのカブールと
パキスタンのペシャワールでつくられています
アンサンブルにおいてメインで使用しているのは
2019年に訪れたときに入手した
ペシャワールの小型ラバーブになります
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/DSCF4393-1のコピー-1024x683.jpg)
スワラジ民族音楽ラボでサウンドトラックを担当した
映画【アプリコットの樹の下で】のオープニング曲Karakoramは
パキスタンのフンザで生産された独特のラバーブで録音しました。