寿司桶にヤギの皮をはったシンプルな
フレイムドラムBendirはダフともよばれて
中石器時代の洞窟画や
古代ギリシャやさらに古い時代の
アッシリア帝国のレリーフにも描かれている
有史以前にもさかのぼるような
起源の古い楽器です。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/OIP-1.jpg)
その簡素ながら
力強い低音は
中東古楽器の繊細で優美な音世界に
寄り添うように加えられ
アンサンブルの中でもとても重要な役割を果たしてます。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/600px-Aleppomusic.jpg)
ユーラシア、アメリカ大陸の先住民族においては
儀式においてヒーリングにおいても使われ
アイリッシュ音楽ではバウロンとよばれ
ジングルがついたものはタンバリンになり
ブラジルにいってパンデイロになり
世界中で古今を問わず使われているので
この楽器の汎用性の高さを知ることができます。
中東の打楽器というとダラブッカを連想するかもしれませんが
伝統弦楽器の多くは西洋楽器などに比べて
音量は小さいものの
音質は豊かで繊細なので
音量と音質ともにバランスのよいフレイムドラムが
伴奏楽器として最適な理由のひとつになります。
![](https://swarajmusic.com/wp-content/uploads/2021/03/スクリーンショット-2021-03-08-10.00.09-1024x727.png)
驚いたことに
北アフリカ諸国を旅していると
Bendirは楽器店だけではなく
植木鉢やフルイを販売しているお店に
無造作に置かれているのを目にしたことがあります。
有史以前から使われてきたこの楽器が
今でも暮らしに近いところで受け継がれているのは
大変興味深いことです。
スワラジ民族音楽ラボの録音で使用している
Bendirはリビアで出会ったものを
皮を張り替えて使っています
とてもシンプルな構造なので
メンテナンスも簡単
メロデイ楽器を専門とする奏者においても
リズムの仕組みを理解する上で
最適な楽器といえるでしょう。