民族楽器ラバーブで奏でるパシュトゥーンのメロデイとは(譜面あり)

こんにちはラバーブの演奏家ウエダタカユキです。
伝統のメロデイには、楽器がよく響くだけじゃなく
ながーい時間をかけて受け継がれた深い叡智が秘められています。
今回はアフガニスタン・パキスタンの民族パシュトゥーンのメロデイを音楽の専門家の視点から、深堀りします。

ラバーブの名手とザキール・フセインの演奏

ラバーブのスルタンともいわれる、往年の巨匠Ustad Mohamed Omarと
タブラ界のスーパースターZakir Husseinの演奏です。
なんでタブラ?と思うかもですが、かつてアフガン、パキスタン、インド北部は
国境の隔たりがなく、文化的にも深くつながっていました。
なのでタブラとの共演はお馴染みなのです。

Kesturi is an important mode in Afghan popular music, 
but unlike most of the Afghan modes does not seem to correspond with an Indian rag. 
この演奏は(Rag Kesturi)に基づき、アフガニスタンでポピュラーなモードです。
ほとんどのアフガニスタンの音楽モード(旋法)はインドのラーガに対応していますが、こちらは例外的です。
〜ロンドン大学教授John Bailyの記事より引用

まずはリズムなしの即興演奏からはじまり
パーカッションが加わって
テーマと演奏、だんだんもり上がってきたら
スピードアップしておしまい。
という感じで、
シンプルなメロデイを
バリエーションあふれるリズムパターンをはめ込んで
ダイナミクスをつけて
お互いの音に耳を澄ませながら、ぐるぐる魔法陣を描くように演奏されてます。

こちらはカリフォルニア在住のラバーブの王様といわれる、
現代の演奏家Ustad Homayun Sakhiによる同じ演目。
アフガニスタン、パキスタンの民族パシュトゥーンに伝わるメロデイとされています。
初めと終わりに親しみやすいメロデイのモチーフをもってきて
真ん中に自由な即興を挟むのは、ジャズにも通じるところがありますね。
こうした音楽の多くは
西洋譜面では表記されないで
口伝、もしくはサレガマパダニサ(南アジアのドレミみたいなの)などで
必要最低限の表記で伝えられることがおおいですが。
なじみがないと、ワカンナイですよね。なので私のとこに通う生徒さんにもわかりやすいように
1枚の譜面(ミュージック・シート)を作成してみました。

ラバーブによるパシュトゥーン音楽の譜面

Keliwali_in_raag_Kesturi

Ustad Homayun Sakhi先生の演奏をもとに作成してますが、
当然ながら、細かい表記はハショッてます。
譜面はあくまでも、メモみたいな感じなので
実際弾くときは、おぼえちゃってくださいね😌
※実音より半音下がってますが、見やすいようにDメジャーでかいてます。

上がるとき、下がるときで使う音が違う理由

ちょこっと引いてみるとわかるとおもいますが
ドレミ音階にきこえるかもですが、ちょこっとちがいます。
そうです、

上がるとき2度をすっ飛ばしてるんです

そんな、ちょこっとの違いかよ!?と思うかもですが
東洋の音楽は、みなさんが想像してるより
ずーっと繊細で深淵なものかもしれないです。
このようなちょっとしたルールを破るのは御法度だったりしますので、注意しましょう😌

伝統を受け継ぐということは。。。

私はラバーブでナウシカのテーマやったり
オリジナルで楽曲をつくったりもしてますが、
やはりこうして伝統的な楽曲、演奏に取り組むことは
とてもとても重要だと思います。

伝統?うわーなんか難しそう、重いなーと思う方は
軽めの曲からやってみるのも、もちろんOKだと思いますが、
ラバーブという楽器の潜在力を引き出して
芳醇な音の世界を旅するには
やはり、今回ご紹介したような
昔から受け継がれてるメロデイを学ぶのが
もっとも効果的です。

パシュトゥーンの人々にとって、中央アジアの民族にとって
ラバーブはこころに響く特別な楽器です。
RubabのRhuは魂、こころともいわれています。 引用元Aga Khan Music Initiative 

スーフィズムにおいても、ラバーブは修行の一環として重要な位置をしめていた
ともいわれます。 とはいえ、私は別に宗教と関連づけたいわけじゃないです。
ただ、人生100年の時代に魂の向上のためのツールのひとつとして
単なるエンタメだけじゃない、深淵な世界の入り口としてラバーブを体験することをおすすめします😌

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です