和楽器の琵琶や西洋古楽器のリュートにも
大きな影響を与えたといわれるウードは
スワラジ民族音楽ラボでも
使用頻度の多い楽器です。
ウードの起源はとても古く
現在のアフガニスタン、パキスタン北西部
かつてのバクトリアやガンダーラには
ウードのような、ショートネック型のリュート系楽器
のレリーフもみられ、2000年ほど前から
人々はウードのような楽器に親しんでいたのが
確認されます
音楽学者のリチャード・ダンブリル(Richard Dumbrill)によると
リュート科の楽器は紀元前3000年以前のメソポタミアにも存在していたといいます.
しかしながら古代エジプトの絵画にみられるような
リュート系の楽器は
どちらかというとネックが細長いかたちをしているので
ウードのようなネックが短いリュート系の楽器は
ガンダーラのレリーフにみられるように
メソポタミアの東、
バクトリアやガンダーラで発展したと
考えられています。
その後
これらの地域はササン朝ペルシャ(AD224-651)
の一部となり
バクトリアの首の短いリュートは
バルバットとよばれ後のイスラム世界の
ウードになったと考えられます.
アンサンブルでウードが活躍する理由
ウードがアンサンブルに最適な
理由のひとつに
その低音の魅力があります。
アラビアのウードは
ペルシャ文化圏のバルバットに
古代ギリシャの竪琴バルビトンの
低音を組み合わせたとい可能性も高く
バルバットに低音を与え
8世紀から9世紀 中世になって
イスラム世界が
今のスペイン、イベリア半島を征服したのち
多くのオリエントの音楽家が
ウードをヨーロッパにもたらしたと
いわれています
この頃4弦であった
ウードに5弦が加えられて
当時世界の最先端の文明を誇っていた
コルドバには音楽学校が設立されたといわれています。
今では
6コースが主流のウードですが
アルジェリアのトレムセン
中世アンダルスの影響が残る地域では
Kouitra ,Kwitraという
昔のウードの面影をのこした
4弦のものが今でも受け継がれています
スワラジ民族音楽ラボでは
ウエダタカユキ所有のイラクウードと
矢島夕佳里所有のトルコウードにアラビアウードの弦を
張ったものを中心に使っています。
このように
広い地域で長い歴史の中で育まれたウードは
その低音の魅力と
フレットレスならではの
微細な表現もできることから
スワラジ民族音楽ラボでも重要な楽器のひとつなのです。