Tokyo modal music labのウエダタカユキです。アラビア音階は西洋との
もっとも大きな特徴のひとつが、微分音(マイクロトーン)です。ピアノなど平均律の楽器や音楽に幼少期から親しんだ方ほど、この微分音が気持ち悪いと感じる方が多いのも事実かもですが😭多様性がますます重要になる今、音楽が好き、楽器が好きであれば微分音への知識は避けては通れない領域なので今日は微分音についてフォーカスしますね。
調律師さんの微細な音世界
ここで皆さんにテストです。といえば、緊張しちゃいますね。すみません🙇♂️
こちらの動画はウイーンにおられる調律士さんのお話3パターンの違い楽器をやっておられる方であればビミョーな違いですがわかるかも!
微細な音程をコントロールしてすこーしだけ、オクターブの上の音を高くするとキラッとした音色が出せるのを証明していただけたと思います。アラビアや中東音楽の微分音の使い方には半音の半分=4分の1音
のように一聴した瞬間、西洋音階にはない音を使うこともありますがこのようにほんの少しのフレーバー(味つけ)
みたいにも使われることもあります。
自分の耳で音階をつくる民族楽器ラバーブ
ピアノは基本的に調律師さんがセットしてくれますが、民族楽器ラバーブは使う音階にあわせて自分でセットする必要があります。
えー?めんどくさい、大変そうと思うかもですが、音階を自分でセットすることでモードのシステムを理解して、耳をトレーニングすることにもなるんです。
ギターとかだけやってると、どうしても音のならびのこと、音階の仕組みのことを理解するのが効率的じゃないです。
私もギターを子供のころからやってたのですが、音楽理論は学校で学ばないとギターやってるだけじゃ理解できませんでした、でもラバーブは音の並び順が、共鳴弦で可視化されるのでモード音楽の理論を学ぶには最適です。
アラブの微分音の世界は
ここで民族音楽の大家、小泉文夫さんの解説とともにイラクの民謡における微分音を聴いてみましょう。
13:55くらいからはじまります。この楽曲のメロデイはラスト( Rast)というアラビア音階(旋法)に基づいています。
3度の音(元の音がドだとするとミの音)が4分の1ほど低いのが確認できますが
いかがでしょう、やっぱり気持ち悪く感じちゃいますか?
アラブよりさらに微細なトルコの微分音
ここでは4分の1だった、微分音実はアラビア世界でも国や地方、もしくは演奏者によっても解釈はさまざまだったりします。トルコでは、さきほどのラスト(Rast)という音階(旋法)では3度の音が
4分の1ではなく9分の1だけ下げて演奏されることがあります。
そんな細かい音、聞き分けできるの?と思いますよね、、、それではトルコのRast旋法に基づいて演奏されたのも聴いてみましょう。
いかがでしょう? 9分の1の3度わかります?わかる人は相当すごいです、フツーの西洋の3度にちかいようにも感じちゃうかもしれないですよね。 それでも、実際にトルコ音楽の譜面にはこのように反対向いたフラットは9分の1下げてとちゃーんと明記されています。
うーん、微妙すぎてワカンナイなあと思われるかもしれないですね。楽曲は100年ほど前の音楽家Tanburi Camil beyものですが演奏家は現代人なので
モダン音楽の影響を受けているのも関係してそうですがここでの微分音はさしずめキラキラ明るすぎない程度のメジャー音階みたいなニュアンスでしょうか。このように気持ち悪い?と思われがちのアラビア音階の解釈の中にも多様な地域差があるのが確認できます。
ハーレムで演奏されてた?中世オリエント音楽家の作品
こちらの楽曲は、中世オリエント世界の音楽家Abdülkadir Meragiの作品、2021年東京ジャーミイ・トルコ文化センターでの私たちの演奏になります。
ハーレムで演奏されてたか、定かじゃないのですが【トルコドラマ】オスマン帝国外伝のハーレムシーンで何度も使われていたので、紹介しました。
こんな感じで、意外に親しみやすく、ギターやマンドリンなどで演奏することも可能ですので、参考までに譜面を公開しますので、無料ダウンロードOKです。