こんにちはTokyo modal music labのウエダです
アイヌ民族を描いた人気アニメゴールデンカムイでも出てきた、不思議な弦楽器トンコリ。 この不思議な楽器のルーツを深堀りします。
トンコリはコーカサスが起源
アイヌ民族の弦楽器トンコリは5弦琴ともいわれ、
ギターや三味線などとは違って、弦を爪弾くハープみたいな楽器です。
フツーのハープ(琴)みたいな楽器は
平らににして爪弾くのですが一般的です。
古代ギリシャの竪琴もあるけど
トンコリみたいに細長くないですよね
爪弾くのには構造上、弾きにくそうなトンコリですが、ルーツと考えられる楽器に
意外な理由がありました。
トンコリは中央アジアを交易ルートにしていた、コサックキャラバン隊によって、もたらされた擦弦楽器(チェロや二胡みたいに弓で弾く楽器)だと考えられてます。理由はいくつかあるので
紹介しますとこんな感じ↓
- 琴なのに抱えて弾くから
- お尻がとんがってるから
- アタマのかたちもシチェプシンに似てるから
確かに、アタマがまーるくて
おしりも尖って、長細い感じなどトンコリにそっくりです。
トンコリが中央アジアを交易ルートにしていたコサックのキャラバン隊によって、もたらされたこの楽器が直接的なルーツというのにも、納得できます。
たしかにこの形状だと
ハープ系楽器にしてはかなり不自然、
弓で弾くほうが、このかたちを活かしているように思えます。
樺太アイヌのトンコリは1mくらいある
大きさですが、このくらいの大きさであれば移動するときにも、馬の後ろにちょこっと引っさげて旅できそうですよね。
もともとは、椅子にすわって弓で弾く楽器だったシチェプシンが、樺太にもたらされてこのように抱えて弾く楽器になったと考えられます。
それじゃあ、なんで弓で弾かないのか
疑問ですよね。。。。
樺太アイヌ民族には馬がなく、大陸との交易が途絶えたら
弓の原材料である馬の毛の入手ができなくなり
身近な素材、動物の腱や植物の弦にしたと考えられます。
爪で音程をコントロールする楽器
トンコリもそうですが、シチェプシンには
指板の形跡がぜんぜんないです
どうやって音程をコントロールしていたのでしょう?
ちょっと暗くてみえないのですがこの奏法は
- モンゴルの馬頭琴
- トルコ・イスタンブールのクラシックケメンチェ
- ギリシャ・クレタ島のクレタンリラ、
- インドのサーランギ
みたいに爪で抑えているものとみられます。
指で抑えるのと違って
ちょっと尺八みたいな独特の掠れ音が出ます。弦も馬の毛を束ねたのをつかってるので牧歌的な雰囲気が出るんですね。
ユーラシア大陸から
樺太にもたらされた
擦弦楽器シチェプシンが
トンコリのもとになり、
その後
大陸との交易で
弓の原材料である
馬の毛が入手できなくなった
樺太アイヌの人々がトンコリを
もとの楽器のかたちを遺したまま
現地で手にはいる材料で弦をつくり
爪弾くハープ系の弾き方になったと考えられます。
というわけで、
今日は日本の楽器【トンコリ】のルーツを深堀りしました、
Tokyo modal music labでは
コーカサスや中央アジアの音楽もアンサンブルで演奏してますので
近い将来、トンコリのルーツでもあるコーカサスがつながる企画を
考えています。
楽しみにしていてくださいませ😌