イスラム神秘主義スーフィーでも有名な
ルーミー(メヴラーナ)に代表されるように中東には詩の文化が深く根づいています
国連本部に掲げられた詩も
ペルシャの詩人サアディーによるもの
なので
中東の詩は世界でも非常に高い評価をうけているのがわかりますよね。
そこで今日は
中世トルコの詩人ユヌス・エムレの詩
を深堀りしましょう。

トルコ語の詩の先駆者
ユヌス・エムレ13世紀の中世の時代に生まれその後のトルコ文学に
与えた影響は大きく
トルコリラ紙幣にもユヌス・エムレの肖像画が描かれています。

そしてその詩は
メロデイがつけられた歌としても
受け継がれています。
こちらのバージョンは現代人に聞きやすい
と思います。
Tokyo modal music labも演奏でご一緒する楽曲なので詩の意味も見ていきましょう。

Hak bir gönül verdi bana
私の心に授けられた真理
Ha demeden hayrân olur
一瞬にして畏敬の念を抱かせる
Bir dem gelir şâdân olur
息をすれば幸せを知り
Bir dem gelir giryân olur  
息をすれば涙で満たされる
Bir dem sanasın kış gibi  
一瞬で凍りつく真冬のように
Şol zemheri olmuş gibi   
そして実り豊かな
Bir dem beşâretden doğar 
心地よいブドウ園のある庭のように
Hoş bağ ile bostân olur  

Bir dem gelir Îsâ gibi     
預言者イエスのように  
Ölmüşleri diri kılar      
その息吹きとともに死者が蘇る
Bir dem girer kibr evine   
もしくは旧約聖書の圧政者
Fir’avn ile Hâmân olur    
ファラオやハマンのように傲慢の家に入るのかBir dem döner Cebrâil’e   
大天使ガブリエルのように
Rahmet saçar her mahfile  
慈悲はあまねく散らばる
Bir dem gelir gümrâh olur  
Miskin Yunus hayrân olur. 

‘Hak bir gönül verdi bana‘ (English translation)

やはり言葉そのものの持つパワーは
トルコ語で発音するのがベストです。

とはいえ,いきなりトルコ語は
ワカンナイですよね😌
少しは意味も理解したいので
そこで翻訳をつけてみました。

地中海世界のストーリー

栄光と極寒の冬
ブドウの実る庭
蘇りの象徴のイエス
圧政者ファラオ
大天使ガブリエル
などなど
新約、旧約聖書のいい伝えやモチーフが
詩の中にたくさん出てきますね。

イエスはキリスト教のイメージですが
イスラム教でもイエスは重要な預言者の1人なのです。

マリアへの受胎告知で有名な
天使ガブリエル
預言者ムハンマド(SAW)にクルアーンを伝えたとされています。

ユヌス・エムレが生きた時代
今のトルコ=アナトリア半島(小アジア)の大部分はルーム・セルジューク朝などの
イスラム化が進んでいましたが、
イスタンブール(コンスタンティノープル)など北西部の一部は
依然としてキリスト教圏でしたので
ユヌス・エムレの詩に見られるような
ユダヤ教、キリスト教にも通じる
汎一神教的なストーリーは宗教の枠を越えて当時の人々にも馴染みやすかったのではないかと思われます。

というわけで
地中海、中東の歴史を学ぶ上でも
とても興味深い
ユヌス・エムレの詩をご紹介しました。

遠い異国の詩のように
思われるかもしれないですが
トルコ語日本語
語順が同じで
難しい発音も少ないのに加えて
表記もアルファベットに近いので
意外に馴染みやすいと思います。


馴染みやすい理由として
もう一つ
トルコ、チュルク系の民族のルーツ
中央アジアにあり日本人のルーツとも近いことも確認されます。

そうはいってもそんな昔のこと、どうやってわかるの?ほんとなの?
と疑問も生まれますよね😌

日本人とチュルク族のDNAは

私は先日実験としてDNA解析をしてみました
その結果
私の母型ミトコンドリアDNA
ハプログループG1a1a
日本人で7%でしたが
中央アジアのチュルク系ウイグル族
も同じように7%とありました。
これによりシルクロードやシベリアを
通じてつながりがあったというのが
確認できます。

living DNA ハプログループG1a1aマップより

さらに異文化を学ぶことは
自分たちのあり方再確認にもつながります。
なのでこれを機にトルコ語の歌を実際に
声に出してみてください、
聞くだけではなく、自分の声で発することで体に響き、
言葉本来の持つ魂を味わうことができるようになります😌

譜面もこちらのサイトからダウンロードできますので、楽器の方はチャレンジしてみてくださいね。

トルコ音楽の微分音について

冒頭の動画のようにユヌス・エムレの詩には
メロデイがついた楽曲があります。

ここからはこの楽曲について
中東の音楽でも特徴的な
マイクロトーン(微分音)について深掘りしましょう。

一見するとなーんだ、めちゃシンプルな楽譜じゃないですか
と思いきや、ひとつ注意ポイントがあります。
よーくみると♭が反対向いてるのわかりますよね
アラビアの音楽だとこの印は
4分の1下げた音として認識されることが多いのですが

トルコ音楽では9分の1下がる
とこちらの資料にはあります

Turkish mapamより

そんな細かい音の使いわけ
無理でしょ、と思うかもしれないですよね。
実際、いろいろな方と演奏を一緒にしたり
聞いてみると、奏者によって振れ幅もあるのですが

先日東京にあるモスク
東京ジャーミイ・トルコ文化センターの地下ホールで
演奏された音源を聴くと、確かに
9分の1ほどフラットした音で演奏されているのが
確認できました😌

※24:53 から微分音の小節

というわけで
トルコの音楽
アラビアの微分音よりも
さらに繊細な音を表記して
使い分けているということが
実証できたと思います。

生まれつきこのような
音楽に親しんでないと
難しそう🤔と感じるかもしれないですが

以前にもお話ししたように
相対的音感
訓練(声に出してうたってみること)により
身につけることが可能です。

多様性がますます重要視される現在において
ピアノの鍵盤だけで分割された音世界、しか知らないなんて
もったいないですよね。
これからも共に新しい世界の探究を深めて
いろいろな社会との共存することで
日々を楽しく暮らしていければと思います。